
「金持ち父さん」シリーズを読んで、不動産投資に興味を持った方は多いと思います。少ない自己資金でもスタートできて、節税効果もあり、相続対策にもなる。ローンの月々の支払いは家賃収入からまかなえて、さらに管理費などの諸費用を支払っても、ある程度の現金が手元に残るいわゆる「 私的年金 」のような効果がある。
将来の年金はあてにならない。会社もあてにならない。欧米流の成果主義によって職を失う人もいる時代。今や、定年まで安定して働けるのは公務員くらいかも知れません。「 定年後は年金で時間とお金を自由に使える生活をする 」というのが、これまでの日本人の将来像だったと思います。しかし、もうそんな甘いことは言ってられない状況になりました。決して将来を約束されているわけでないのです。
もうこの辺で何かに期待するのはやめましょう。自分の人生を自分でコントロールする能力 が求められる時代になったのです。年金にしろ、会社にしろ、「 自分ではどうしようもないこと 」について考えるよりも、自ら積極的に安定した生活基盤や約束された将来の生活を築くことを目指す方が建設的な考え方であるように思います。
では、安定した生活基盤や約束された将来の生活を築くために何が有効なのでしょうか。ある人はその答えを「起業」や「ビジネス」に求めるかもしれません。「株式投資」や「債権」という答えもあるでしょう。その答えは決して一つではありません。万人にとって「正しい答え」というものもありません。ただ、有力な答えの一つとして「不動産」というものが考えられます。
ここで金持ち父さんの言葉を引こう。まず大切なのは、資産と負債の違いを知り、資産を買わなければならないということだ。金持ちになりたい人が知っておくべきことはこれにつきると言ってもいい。いわば金持ちになるための鉄則だ。金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人たちは負債を手に入れ、資産だと思い込む。
(
金持ち父さん貧乏父さん p92〜)これは不動産投資にもあてはまる事実です。
「金持ち父さん」シリーズを一冊でも読んだことがある人ならば、資産と負債の違いについては十二分に理解していることだろう。なぜなら、それがシリーズを貫くテーマの一つであるからだ。だが、ここで同書を読んだことがない方のために資産と負債の違いについて簡単に説明することにしましょう。金持ち父さんによる資産と負債の説明は単純明快で、実際に理解するのに数分とかからりません。
では、次の図をご覧頂こう。上の縦長の箱が「損益計算書」と呼ばれるものです。これには収入と支出が記録される。入ってくるお金と出ていくお金だ。下の横長の箱が「貸借対照表」です。英語では 「バランスシート」と呼ばれるが、これは左右に振り分けられた資産と負債がバランスをとるように作られているからだ。財務をちょっとかじっただけの人間の多くはこの「損益計算書」と「貸借対照表」との関係をわかっていない。ところがこれが一番重要なことなのだ。

二つの図を見て次の資産と負債の金持ち父さん流の定義を知れば、それほど苦労せずにその違いが理解できるだろう。知らなくてはいけないことは本当にこれだけなのだ。金持ちになりたいなら、ただ「資産を買うこと」に生涯を捧げればいい。中流以下にとどまっていたい人は負債を買えばいい。資産と負債の違いを知らないこと、これが多くの人がお金に困っている最大の理由だ。
資産は、あなたが何もしなくてもお金をポケットに入れてくれます。お金持ちがどんどんお金持ちになる理由の一つは、自分の資産がお金を生み、その資産が新たな資産を買ってくれるからなのです。資産が十分にあれば、仮に自分がなにもしなかったとしても生活が出来るようになるでしょう。資産は財務諸表中でのキャッシュフロー(お金の流れ)は、次の図のようになっています。

反対に、負債はあなたのポケットからお金を奪っていきます。金持ち父さんの教えのなかでも世間的には抵抗の強い考え方として、「持ち家は負債だ!」と言う考え方があります。マイホームを買うことは一種の憧れであり、ステータスであるのかもしれません。 ただし、だからと言ってすべての持ち家が資産であるわけではなく、持ち家を維持するために月々お金が出て行く、言い換えればお金を生まない持ち家はすべて負債なのです。負債のお金の流れは、次の図のようになっています。

もし一生懸命働いたとしても、ゆとりある生活が出来そうもなかったり、月々の支払いに追われている生活にうんざりしていたとしても、では何をどのように変えれば良いのかと問われても、答えに窮してしまうかもしれません。でも、「金持ち父さん」シリーズはあらゆる経済的な問題に対しての解決策を提示してくれたように思います。曰く、「資産と負債との違いを知るのです。そして、勤労所得を不労所得を生み出す資産に変えるのです。」 そう、たったこれだけなんですね。お金の哲学は。
さてここからが本題。では不動産物件の購入を検討する際に、どのようにしてその物件のキャッシュフローを見積もればよいのでしょうか。よく 「利回り」 を不動産の収益力を測る重要な指標にする人がいます。人呼んで、「利回り星人」。利回り星人はたいてい次のような考えを持っています。
「利回り」を重視する人がいるが、上記の主張にはいくつかの疑問点があります。特に、その差額(家賃収入−金融機関への支払い)が毎月の不労所得になりますという点。確かに金融機関への支払いが不動産投資におけるもっとも大きな支出であるのですが、だからといって家賃収入から借入金を返済した額が毎月の不労所得である、とするのはいささか安直過ぎるのでは、と感じてなりません。
毎月の家賃収入には空室による損失額は見込まれているのでしょうか。見込まれているとすれば、家賃収入に対してどの程度の割合なのでしょうか。修繕費用や管理費、火災保険料なども無視できない支出です。土地を借りているなら、地代の支払いも発生するでしょう。さらに、土地・建物を取得すると土地・建物それぞれに固定資産税および都市計画税の支払い義務が生じます。これらのような支出をすべて無視して、家賃収入から借入金支払いを控除した額が「不労所得」などとするのは、投資の失敗への第一歩でしかありません。
問題点はそれだけではありません。「利回り」が分かっても、実際の投資判断には対して役に立たない、ということです。利回り10%の物件は必ずしも利回り12%の物件よりも投資対象として優れている保証はどこにもないですし、第一その物件が「資産」なのか「負債」なのかはキャッシュフローをみなければ分からないのです。たとえ表面上の「利回り」が良かったとしてもキャッシュフローがマイナスという物件はありますし、反対に「利回り」という点からみればそれほど魅力的ではなくても実は多くのキャッシュフローを産み出すような隠れた収益物件も存在します。
資産と負債の判別方法は、先に述べたようにその物件がキャッシュフローを生み出すのか否か、その一点に尽きます。利回りはあくまでキャッシュフローに影響を与える因子の一つでしかありません。その不動産が生み出すキャッシュフローの額を推定するには、キャッシュフローに関与するいくつかの因子がどのような数値になるかを仮定しなければなりません。たとえば、空室率が10%、借入金利は3%、といったような具合です。そのため、キャッシュフローはあくまでいくつもの仮定の上に成り立っている数値だという事に注意しなければなりません。裏を返せば、キャッシュフローに関わる一つの数値の仮定が少し変わるだけで、キャッシュフローに重大な変化がもたらされるということです。金利が1%上昇しただけであるいは管理費や空室率が5%上昇しただけで、キャッシュフローはガタガタになるものです。
不動産投資においてもっとも大事な要素は何かと問われれば、それは「キャッシュフロー」において他なりません。少しでも不動産投資について考えたことがある人であれば、キャッシュフローの重要性については今さら強調すべきことではないかもしれません。
しかしながらたとえキャッシュフローの重要性は認識していたとしても、「キャッシュフロー」と「利益」は異なる、ということは案外知られていない事実です。キャッシュフローと利益には互いに深い関連性がありますが、両者には決定的な違いが存在します。不動産投資を行う上ではまずキャッシュフローと利益の違いをしっかり区別する必要があります。両者の違いを厳密に理解する事が購入対象物件の収益性を試算するうえでの基礎知識となります。では、ここであなたがキャッシュフローと利益の違いを理解しているかどうかを判定する質問を問うてみることにしましょう。
利益の額も最大化したいと考えたあなた。残念ながら不正解 です。不動産投資を行う上では可能な限り 『キャッシュフローは多く、利益額は少なくする』 という方針が唯一の正解となります。利益額がその年支払う税金の額を左右するからです。「税金」について「お宝不動産で金持ちになる!」の著者・沢孝史氏は
不動産投資を始める前に読む本で、
とコメントしています。さてここまでキャッシュフローと利益の違いや関係性について論じてきましたが、そもそもキャッシュフローとは何なのでしょうか。また、利益とは何なのでしょうか。キャッシュフローはどのように計算され、利益はどのように導かれるのでしょうか。まずは、不動産投資の大前提となる2つの『数字』について学んでみることにしましょう。
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キャッシュフローの導き方/知らないと高くつく「税金」の仕組み
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