
前回は定額法と定率法という2種類の償却方法による減価償却費の仕組みについて考えてみました。
では、さらに減価償却に関する知識を深めてみることにしましょう。定額法の計算式を少し変形すると、
| @ | 減価償却の対象となる金額 |
| = | (取得原価) − (残存価格) |
| A | 定額法による毎年の減価償却費 |
| = | (減価償却の対象となる金額) |
| = | (減価償却の対象となる金額) |
| = | (減価償却の対象となる金額) |
上記のように、計算式中に償却率を導き出すことができました。
この計算式を定率法の計算式と比較してみることにしましょう。
| 減価償却方法 | 計算式 | |
| 定額法 | = (減価償却の対象となる金額) | |
| 定率法 | = (取得原価 − 減価償却費累計額) | |
減価償却の対象となる金額が定額法の場合は一定で、定率法の場合は経過年数と共に減少していくという違いはありますが、両者とも償却率を乗ずる、という点では一致しています。計算式をみれば予想はつくことですが、この償却率が大きくなれば、当然ながら毎年の減価償却費も増加します。償却率は、税法によって以下のように設定されています。(11年目以降は省略)
| 耐用年数 | 定額法 | 定率法 |
| 2年 | 0.500 | 0.684 |
| 3年 | 0.333 | 0.536 |
| 4年 | 0.250 | 0.438 |
| 5年 | 0.200 | 0.369 |
| 6年 | 0.166 | 0.319 |
| 7年 | 0.142 | 0.280 |
| 8年 | 0.125 | 0.250 |
| 9年 | 0.111 | 0.226 |
| 10年 | 0.100 | 0.206 |
定額法の償却率の計算は非常に簡単です。単純に耐用年数の逆数になります。たとえば、耐用年数が2年なら 1÷2=0.500 という具合です。むずかしいのが、定率法の償却率。上表をみて、すぐに計算方法を導けた人はか〜なり頭イイです。経理畑で働いている人だとか、不動産業界の人は償却率なんぞはいちいち計算式なんか知らなくても、自動で計算してくれるようなツールがあるのでしょうが、こちらはそんな便利なツールはあいにくと持ち合わせていません。なければ、自分で作るしかありません。
で、いちいち手計算するのもめんどうですから、必要な数値データを打ち込めば、あとはExcelがすべて自動計算してくれるようなツールを自前で作ろう!と考えました。ですが、ツール作成過程では適切な数値が自動計算されなかったり、循環式になって計算式がエラー表示になったり、まあいろいろと開発には苦労しました。それで、いちばん初めにツール作成過程で座礁しかけた場所がこの定率法の償却率。いろいろと不動産関連書籍をあたったり、インターネットの世界を放浪して調べてみても、上表のような償却率表は載っていても、肝心の計算式は書いていないんですね。耐用年数と償却率の関係から、計算結果を導き出すなんらかの関数を自力で解けるほどIQは高くもないですから、正直困りました。
償却率の計算式なんか知らなくても、Excelで計算するなら他のセルに償却率表を作成して、その数値を参照すればいいじゃないか!とも思ったんですけどねえ。それはそれで設定が難しい。むう〜〜。問題は後々棚ボタ的に解決しましたが、また新たな問題が浮上しました。それが中古資産の耐用年数であります。ちなみに、定率法の償却率の計算式は以下の通り。(注・Excel形式で表示)
計算式に、√(ルート)でてきちゃいました・・・(汗)。しかも、計算式中に耐用年数などという「新たな変数」が出現しておりますね。この耐用年数、じつは中古資産の場合またまた計算式がややこしくなります。条件分岐がかなり複雑になるんです。おそるべし、定率法!ここらへん労力を惜しまず、Excelなどでシミュレーションツールを作れる方はぜひご自分でやってみてください。そんなことやってられっか!という方はぜひ
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うざい償却率の計算式はしばし忘れて、さきほどの償却率表をもういちど眺めてみることにしましょう。
| 耐用年数 | 定額法 | 定率法 |
| 2年 | 0.500 | 0.684 |
| 3年 | 0.333 | 0.536 |
| 4年 | 0.250 | 0.438 |
| 5年 | 0.200 | 0.369 |
| 6年 | 0.166 | 0.319 |
| 7年 | 0.142 | 0.280 |
| 8年 | 0.125 | 0.250 |
| 9年 | 0.111 | 0.226 |
| 10年 | 0.100 | 0.206 |
この償却率表から次のような事実が明らかになります。それは、「耐用年数が短いほど、償却率は上昇する」ということ。たとえば、1千万円のベンツを購入したとしましょう。車の法定耐用年数は、6年と税法で決まっています。償却可能限度額は取得価格の90%なので、結果的に900万円を6年間で償却することになります。毎年の減価償却のペースが定額法と定率法でどの程度違うのかは
前回の計算例を参照ください。
車の法定耐用年数は6年と決まっている。ふむふむ。なら、中古車の耐用年数はどのように決まるのでしょうか。減価償却資産の耐用年数等に関する省令3条には、中古資産の耐用年数を計算する簡便法として次のような規定があります。
| 法定耐用年数の全部を経過しているとき | |
| 耐用年数 | = 法定耐用年数 × 20% |
| 中古資産が法定耐用年数の一部を経過しているとき | |
| 耐用年数 | = 法定耐用年数 − 経過年数 × 80% |
| (一年未満の端数は切捨て。最短2年) | |
では、上記の計算式を参考にして中古のベンツの耐用年数を計算してみることにしましょう。
| 中古資産の 経過年数 |
計算式 | 耐用年数 |
| 1年 | 6 − 1 × 0.8 = 5.2 | |
| 2年 | 6 − 2 × 0.8 = 4.4 | |
| 3年 | 6 − 3 × 0.8 = 3.6 | |
| 4年 | 6 − 4 × 0.8 = 2.8 | |
| 5年 | 6 − 5 × 0.8 = 2.0 | |
| 6年以上 | 法定耐用年数6年 × 20% = 1.2 < 最短2年 |
上表から、メルセデスベンツは4年落ちであろうが、6年落ちであろうが2年で落とせるということが分かります。どうせ買うなら、ちょっとでも新しいベンツのほうがいいですよね。結局、耐用年数は変わらないのですしね。世の中には、汗水たらして働いたお金をせっせと貯金して、やっとの思いで外車を買う人がいる一方で、節税のためにしょうがないから買う人もいます。ルールを上手に活かせる人とそうでない人の差は、案外ちょっとした知識の差だったりするのかもしれませんね。
さて、そもそも減価償却費ってなんなのよ!?計算するとどんなメリットがあるんだよ。と思った方は、
切っても切れない「減価償却費」と「税金」の関係 を読み返してみてくださいね〜。
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