元利均等返済、元金均等返済。一字違いで大違い!

目次:借入金返済方式の違いが「税金」と「キャッシュフロー」におよぼす影響
借入金返済方式の違いが「税金」と「キャッシュフロー」におよぼす影響
「元金が減らない・・・」とボヤキが聞こえる元利均等返済方式
だんだん合計支払額が減る元金均等返済方式
返済方式は、「キャッシュフロー」と「税金」にどう絡む!?


まず「税引き前収入(またはキャッシュフロー)」と「申告所得」および「税引後収入」の関係性をもう一度思い出してもらうことにしましょう。表Cを再掲します。

表C 税引き後収入
税引き前収入
+)借入金の元金返済部分
−)減価償却費
――――――――――――――――― 「申告所得」
−)所得税 (申告所得 × 所得税率)
−)住民税 (申告所得 × 住民税率)
――――――――――――――――― 
税引き後収入


表Cを眺めると、借入金の元金部分が増えれば、申告所得が増えて結果的に支払う税金も増え、税引き後収入を押し下げる、という関係性が認められます。つまり、借入金の元金返済部分の多寡が税金の支払いに大きく関与するという事です。では今回は毎年の借入金の元金返済部分がどのように計算されるのか、を論点としてみることとしましょう。借入金の返済方式としては、次の2つが代表的です。

・ 元利均等返済方式
・ 元金均等返済方式


住宅ローンなど、金額が大きく、返済期間が長期にわたるようなローンのときに多く使用されるのが 「元利均等返済」。特徴は、毎月支払う額は常に一定だが、その返済内訳は元金と利息の比率が変化している、という点です。たとえば、借入金が1千万円、返済期間は10年、金利は3.5% という条件を考えてみましょう。毎年の返済額は120万2414円で、元金と利息の返済は次のようになっています。

元利均等返済方式
年度 元金返済額 利息返済額 合計返済額
1年目 852,414 350,000 1,202,414
2年目 882,248 320,166 1,202,414
3年目 913,127 289,287 1,202,414
4年目 945,086 257,327 1,202,414
5年目 978,164 224,249 1,202,414
6年目 1,012,400 190,014 1,202,414
7年目 1,047,834 154,580 1,202,414
8年目 1,084,508 117,905 1,202,414
9年目 1,122,466 79,948 1,202,414
10年目 1,161,752 40,661 1,202,414
合計 10,000,000 2,024,137 12,024,137


1年目の元金返済額は852,414円、利息返済額は350,000円、合計額は1,202,414円となっています。2年目の元金返済額は882,248円、利息返済額は320,166円、合計額は1,202,414円で1年目と同じです。以下毎年の返済額は一定で、毎年元金の返済額は毎年増え続け、逆に利息返済額は減るという構図になっています。毎月返済額が一定なので、返済計画は立てやすいという反面、支払利息が大きいため、総返済額が後述の元金均等返済に比較し大きいというデメリットがあります。元利均等返済のイメージは、次の図を参考にしてください。元金の返済が進むにつれて、だんだん利息の支払いが少なくなる、というイメージですね。


元利均等返済のイメージ

では、元金均等返済についても、先と同じ、借入金が1千万円、返済期間は10年、金利は3.5% という条件で毎年の返済額がどのようになるのかをみてみることにしましょう。

元金均等返済方式
年度 元金返済額 利息返済額 合計返済額
1年目 1,000,000 315,000 1,315,000
2年目 1,000,000 280,000 1,280,000
3年目 1,000,000 245,000 1,245,000
4年目 1,000,000 210,000 1,210,000
5年目 1,000,000 175,000 1,175,000
6年目 1,000,000 140,000 1,140,000
7年目 1,000,000 105,000 1,105,000
8年目 1,000,000 70,000 1,070,000
9年目 1,000,000 35,000 1,035,000
10年目 1,000,000 0 1,000,000
合計 10,000,000 1,575,000 1,1,575,000


上表をみれば、毎年の元金返済部分は1,000,000円で変わらないことが分かります。異なるのは、利息返済額。1年目は315,000円、2年目は280,000円、3年目は245,000円、、、という具合にだんだんと利息返済額は減少していきます。そのため、当初の返済負担が重いが、合計返済額は毎年減っていきます。注目すべき点は、合計の利息返済額です。今回は、借入金、借入期間、借入利率の条件を同一にした場合を比較したのですが、元利均等返済の場合の合計利息返済額は 2,024,137円に対し、元金均等返済では 1,575,000円となっています。これが返済総額は元利均等返済よりも少ない、という元金均等返済のメリットです。元金均等返済の返済イメージは次の図のような感じです。毎年金利負担が軽くなり、合計返済額が減っていくというイメージですかねー。


元金均等返済のイメージ


毎年、あるいは毎月ポケットに入ってくる手取りの収入から、ポケットから出て行くすべての支出を差し引いたものが「キャッシュフロー(あるいは、税引き前収入)」です(表B参照)。借入金の元金返済分にしろ、利息返済分にしろ、どちらも手元から出て行くものですから、合計返済額が一定の元利均等返済では、その他の条件が変わらなければキャッシュフローの額は変動しません。一方、合計返済額が時間経過と共に減少する元金均等返済では、支出額が減るために毎年キャッシュフローは増加することになります。これらは、表Bと両返済方式の違いが分かっていれば予測できることですよね。


表B 税引き前収入
収入合計額
−)支出合計額
―――――――――――――――
税引き前収入=「キャッシュフロー」


しかし、である。経費参入できない元金返済部分は、元利均等返済では毎年増えることになり、結果「申告所得」(表C参照)は増加します。つまり、税金支払いが増えるという事です。定額法にしろ定率法にしろ、耐用年数を過ぎれば減価償却費は計上できなくなります。言い換えれば、新たに減価償却資産を購入するか、資本的支出(資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出のこと)を増加させない限り、減価償却費は毎年低下していく運命にあるのです。

 
表C 税引き後収入
税引き前収入
+)借入金の元金返済部分
−)減価償却費
――――――――――――――――― 「申告所得」
−)所得税 (申告所得 × 所得税率)
−)住民税 (申告所得 × 住民税率)
――――――――――――――――― 
税引き後収入


まとめると、元金の返済部分は時間経過と共に横ばいか、上昇する傾向にあり、他方減価償却費は何もしない限り時間経過と共に横ばいか、低下する運命にあるのだ、ということ。そのため、知らないうちに毎年税金負担が重くなっていた、という事実に気付くことになるかもしれない。借入金の返済方式や減価償却資産の償却方法について、世間で知られていることよりもちょっとだけ深く理解していると、こうした将来起こりうる未来を理詰めで予測できるようになる。そうすれば、あとは対策を考えればよいのだ。


誰もが、払わなくてもよいなら無駄な税金を払いたいとは思わないはずです。税金を圧縮するためには、減価償却費をでかくしてやればいい、という解答に至るのはここまで読み進めてくださった方ならもう分かっていることでしょう。では、次章では、計上できる減価償却費を大きくする裏ワザをご紹介します。(ああ、まるで伊○家の食卓みたいだ・・・)とりあえず、ここでは資本的支出について補足。


補足) 貸付けや事業の用に使用している建物、建物附属設備、機械装置、車両運搬具、器具備品などの資産の修繕費で通常の維持管理や修理のために支出されるものは必要経費になります。  

一般に修繕費といわれるものでも資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増加させたりする部分の支出は、所得税法上、資本的支出になります。このような修繕費と資本的支出の区別は、修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定します。次のような支出は原則として資本的支出になります。

(1) 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
(2) 用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
(3) 機械の部分品を品質又は性能の高いものに取り替えた場合で、
その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額


事業所得や不動産所得の計算上、この資本的支出とされた金額は、その本体の資産の取得価額に加算され、減価償却の方法により各年分の必要経費になります。しかし、次に挙げる支出については、その支出を修繕費として所得金額の計算を行い確定申告をすれば、その年分の必要経費に入れることができます。

(1) おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの修理、改良などの金額が、20万円未満のとき。
(2) 一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か不明の金額がある場合で、その資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき、又は一つの修理、改良などの金額が、60万円未満のとき。


何だかむずかしそうなことが書いてありますが、単純に言えば、修繕費の場合は当期に全額経費として扱われ、資本的支出の場合は何年かに渡って減価償却される、ということ。どちらの方がおいしいかは、一概には決められません。当期の利益額(申告所得)が多ければ修繕費とした方がよいでしょうし、逆に当期に元金支払いが少なく、かつ減価償却費が多い場合には十分に利益額は圧縮されているでしょうから、資本的支出として来期以降に費用を繰り延べておくのも悪くない選択肢ではないかと思います。まあ、ここらの微妙な扱いは、ぜひ専門家の方々とご相談くださいませ。


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