投資と実生活の間には密接な関係が存在する。よく恋愛をすると世界が明るく見えるとか言われるが、まあそれと似たような感じで、儲かれば気分は有頂天、逆に損すれば気分はダークになり一日もしくはそれ以上鬱な気分が続くこともある。許容範囲以上の含み損を抱えているときは、これ以上損失が拡大したらどうしようと夜も眠れない日々が続き、気付けば死ぬほど体調が悪くなっていたりもする。
反対に、根拠はあんまりないが自信をもってトレードしたときは不思議に勝率がよかったり、びくびくしながら建て玉したときはたいてい反対方向に値が動いたりする。それなりの投資経験を有している人であれば、自分の精神状態とトレードの勝敗にはなんらかの相関関係があることを経験的に理解できることと思う。前向きな精神状態が良いトレード結果をもたらすことはなんとなくだが経験則で多くの人は知っているはずだ。
もちろん、前向きな精神状態のときにも思いがけず損することだってあるが、だからといって一度や二度の損で悲観的になったり、損失を誰かのせいにしたり、自暴自棄になったりする必要はない。トレーダーには大きく分けて3つのレベルがある。儲ける額や運用資金の多寡はあまり関係がない。常に損をし続けている投資家。一時期ものすごく儲かるが、最終的にはそれ以上の損をだすバブル投資家。そして、多少のドローダウンはあっても損益曲線が常に右肩上がりの投資家である。
では、儲からない大半の投資家と儲けを蓄積し続ける投資家では何が違うのだろうか。そこには埋めがたい何かがあるのだろうか。儲け続ける投資家だけが特別なトレーディング・システムを使用していたり、儲けの極意を知っているからなのだろうか。ひとつの結論はこうだ。投資手法や知識・情報の有無はそこまで大きな差にはならない。重要なのは、自分の精神状態を適切にマネジメントする能力である。
2007年2月28日、アメリカ経済の先行き不安のとばっちりで日本株も軒並み下げた。ただ、少なくともそれまでの日本市場への見方は強気相場が支配していた。それがたった一日で市場心理は総悲観になってしまった訳である。少なくともファンダメンタル的には一日でなにかが劇的に変わったわけではない。変わったのは市場を眺める投資家の心理だ。優秀なファンダメンタリストがあまり儲からない理由のひとつは市場心理の影響を考慮しないからだとする説もある。
人によっては、今回の世界同時株安がさも自分に対する個人攻撃ではないかと思ったかもしれない。ふざけるな!おれの建て玉みんな含み損じゃないかよ、と。だが、マーケットの発する情報は常に中立である。マーケットがだれかを一方的に個人攻撃したりすることはない。もしそう感じるとすれば、情報を解釈する側の人間がマーケット情報に勝手な解釈を付与したからに他ならない。とかく、市場に勢いがあるとき人は無意味に強気になる傾向があり、弱気相場では必要以上に精神的にダメージを負う傾向がある。その心理的なブレが適切な建て玉操作を阻害する主たる原因なのである。
損切りを実行できずに許容範囲以上の損失をだしたり、感情では買いだと思っているのに躊躇して買い注文をだせなかったりする。買いそびれた株がロケットのように上昇したのを座して見つめるだけで、自身の実行力のなさに欲求不満を覚えたりする。人が欲求不満や恐怖を感じるのは、損したときだけではない。利益のときでも同じように人は恐怖を感じる。少しばかりの利益がでたとき、このまま放っていたらこの利益が吹っ飛んでしまうのではないかと結果的に早すぎる利食いをしてしまうことだって十分に考えられる。このように欲求不満や恐怖の感情はトレード結果に悪影響を及ぼす。
儲け続ける一握りの投資家は市場環境の中で精神状態を適切にマネジメントする術を知ってか知らずか身につけている。マーケット情報を誤読して、不安や恐怖を想起することはない。後ろ向きの精神状態がトレードに悪影響を及ぼすことを知っている。生活の乱れや職場でのストレスが投資判断に関係していることも理解している。損失は敗北ではなく、ゲームを続ける上での避けられないコストであると認識している。ポジションを構築する前にあらかじめ自分なりのリスクを定義している。建て玉、ホールドあるいは仕切りの際に必要以上の緊張もせず、常にストレスなく気楽に対応できる。内なる声に耳を傾け、直感に素直に従う。ストレスなどは感じない。そのようなトレードを行う上で理想的な心理状態を『ゾーン』と呼ぶそうだ。
投資家がゾーンの状態に近づくにつれ、状況に応じて適切な対応がとれるようになる。自分の判断が正しいのかと実行を躊躇することもない。間違ったときは素直に過ちを認め、失敗から学び、より賢くあろうと努める。適切な精神状態の獲得が好循環を生み、投資に対する見識は深まり、経験と共に賢くなる。結果、どんどん投資の実行が単純で容易なものになる。儲かる投資家とそうでない投資家の違いは、要するに投資への精神的なアプローチの仕方の違いであり、結局はそれが全てなのだ。
・・・と、いったようなことを以下の3冊の本から学びました。トレードと心理的な側面はどうやら切っても切れない関係にあるのである。投資に関する知識やスキルを身につけたはずなのになにかが足りないと思っている真面目な投資家さんは読んでみるとよいかもしれない。とりあえず楽に儲かる旨い話はないかと思っている人は、必要が生じるまでは読んでも学ぶべきことは少ないことと思う。目標は一貫して勝てる投資家になること。いつになったらゾーンの境地に達するのかなあと、見果てぬ長い旅にちょいと消化不良な毎日です。世の中、自分の感情ほどワケのわからぬものはないからなあ・・・。
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ゾーン ―相場心理学入門 株や先物をやっていると、買おうと思っていてもためらったり、損切りしようとしても先延ばしにしてしまったりして、後で後悔する事がよくあった。かと思えば、利益確定が早すぎたり、損切りしたら次の日反発したりと、なにかとミスショットが尽きない日々。 昔はいちいち投資結果に一喜一憂していたものですが、この本を読んだおかげでそれからはあまりストレスを感じずに投資判断を実行できるようになりました。なんの恐怖心もなく投資を実行できる状態を「ゾーン」というそうな・・・。 おススメ度: ★★★★★ + ちょい難解だが、必読の書!! |
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規律とトレーダー 相場心理分析入門 『ゾーン ゾーンを読んで難解だと感じた方は、この本を手にとってみるのも良いだろう。ただ、ゾーンの既読者で内容を理解している方は特に読む必要性はないと思う。 原書はゾーンよりも先に書かれているのに、何故に今更という疑問も残る。 おススメ度: ★★★☆☆ + ゾーンのがおススメ!! |
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投資の行動心理学 投資をやっている最中なんだかものすごく不安に駆られたり、負けトレードを飲み食いで憂さ晴らししたり、他人に話して慰めてもらったり、な〜んとなく習慣的になってしまっているそのちょっとした行動がまさに負けトレードを誘発しているのである、といったような内容。 自分の感情や生活習慣と投資のリターンにはむちゃくちゃ相関関係があるんですよね。早すぎる利食い、遅すぎる損切りなどの原因のほとんどは心理的な要因にある。そのトレードにおける心理的側面を考えてたい人向けの本。勝てる投資家のマインドが身につくかも。 おススメ度: ★★★☆☆ + 図書館で借りるべし!! |
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