相場における変人思考

ひねくれものが勝つ世界!?

 「金を一枚1,480円で売りました。その後、金の値段は1,500円になりました。ここで一枚玉を建てなければならないとしたら(1,500円で約定するものとします)、あなたなら売りを建てますか?それとも買いを建てますか?」この質問に対する回答次第で、ある意味その人の投資スキルが分かるかもしれません。まあ、そんな大それたものではないが・・・。


 1,480円で一枚を建てました。と言うことは、その玉を建てた根拠にはそれ以降1,480円以下に下がると考えてのことだと思います。一部にはその玉の入れ方が「試し玉」であり、市場の動きを受け止めるために上がると思うけど売ってみたというひねくれものもいるかもしれません。ただ、大部分の人は下がると思うから売ったのだと仮定してその後の展開を考えてみましょうか。,480円以下に下がると思って売ったのに、1,500円に上がってしまいました。そんな状況です。


 ここで一枚入れるとしたら「買い」ですよ、という方。その人はよほど相場が上手い方か、もしくはものすごく下手な人かどちらかではないでしょうか。確かに一口に1,480円で売りましたと言われても、その1,480円という値がどのように形成されてきた値なのかが分からなければ、この質問に対して答えることは困難だと思います。なので、1,400円の前半から上げてきて、世間ではこれ以上は上がらないのではないかと考えられている状況だと設定しましょうか。


 要するに、もうそれ以上の上げは期待できないと言うのが大筋の見方の場面で買いを入れるわけです。買いを入れた理由がただ上げているから乗り遅れないように、というのであれば場合によっては痛い目を見るかもしれません。<1,500円に上がったのとは別の場面を想定しましょう。1,480円から同じ20円幅の1,460円に落ちたとします。では、この場面で一枚建てるとしたら「買い」ですか、それとも「売り」ですか?


 たぶんですが、この場面では相場の流れについて行く順張りの「売り」の選択肢の方が世間の賛同を得るのだと思います。この場面での「売り」は利乗せを試みているわけですよね。そう考えると、1,460円時点での「買い」は少数派であり同じような理由から1,500円時点での「買い」は多数派の選択だと思います。では、1,460円、1,500円どちらかの時点で「買い」を入れられるとしたらあなたはどちらの玉を選択しますか?


 言い換えるならば、あなたは「順張り」ですか?それとも「逆張り」ですか?という質問としても良いでしょう。では、その後の値動きがどちらに動こうとも利益を得られるポジション、それはどちらなのでしょうか。そのあたりを考えてみましょう。


 1,460円または1,500円どちらで「買い」を入れようと、1,480円で一枚「売り」を建てておいた次の段階であることを考えますと、ポジションはどちらも【1−1】です。買いと売りの枚数が一致しているので、「クロスポジション」ですよね。「クロスポジション」においては、一方はその後の展開をより有利に調節できるポジションであると思います。逆に一方はその後の展開が不利にしかならないポジションではないかと思います。


 両者は、同じ「クロスポジション」です。では、その後の値動きがどう動こうと利益を得やすいポジションはどちらでしょうか?また、その理由は?まあ、結局のところ、こんなモデルケースを考えてみたのは相場を実際にやってみての後付けの理屈でしかないのですけどね。でもこのへんのポジションの建て方を少しでも考えておくと、少なくとも何も考えずに相場に手を出している人よりは市場をコントロール出来る力を持てるのかなとは思います。不利なポジションの建て方を知り、有利なポジションの作り方を理解すること。実践は各自の宿題とすれば、それが相場が上手くなる一番の近道かもしれませんね。僕はそう考えています。



展開を有利にするもの

 自分自身でコントロール出来るものの中ではポジションの作り方がその後の展開を有利、不利にさせる最大の要因になるでしょうか。1,500円で買いを建てた「クロスポジション」にしろ、1,460円で買いを建てた「クロスポジション」にしろ、そのボックスの幅はともに20円です。ここをもう少し突っ込んで考えてみましょう。両者のポジションの最大の違いは何か?いろいろな答えがあるとは思いますが、個人的に着目すべき点は次のことだと思います。


 買い玉の平均値と売り玉の平均値のどちらが高いかと言うことです。もっとシンプルに考えれば、買いと売りを同枚数建てたポジション(これを僕は勝手に「クロス」と呼んでいますが・・・)は大きく分ければ3通りしかありません。その3通りとは、

  1. 買いの平均値<売りの平均値
  2. 買いの平均値=売りの平均値
  3. 買いの平均値>売りの平均値

です。1,460円で買い、1,480円で売った【1−1】ポジションは上記の1、のカテゴリーに分類されますよね。1,500円で買い、1,480円で売った【1−1】ポジションは上記の3、に分類されます。2、の『買いの平均値=売りの平均値』のようなポジションを建てることも理論上考えられます。商品相場では「限月」という制度があるために各限月ごとに値動きが異なります。そのため、2、のようなポジションを取れば限月ごとの値動きの違いを利用した「サヤ取り」という手法が使えます。


 ただし、あんまし商品相場はメジャーじゃなさそうなので「限月」については別の機会にでも書きます。同銘柄で売りと買いを建てた場合、前出の1、あるいは3、のどちらのポジションの方がより有利な配置なのか考えてみたいと思います。ただ、株をやっている人の場合でしたら信用取引をやっていない人にはあまり意味の無い議論ですかね。売りが建てられないから。まあ、いいや。


 株と商品は値動きがまた違うはずですよね。商品には「限月」という制度がありますから、株のように長期保有は出来ません。最長でも1年ぐらいです。つまり商品相場はかなり短期の売買が中心になる訳です。ですから、値動きについて行く順張りにはあまり向かない市場だと言えるでしょうか。苦労して乗ったころには、もう市場が方向を変えていたなんてしょっちゅうですからね。


 天井つけたと思ったらいきなり下げ始めることもあるし、底だと思ったらいきなり上げて乗り損ねたなんてことも株に比べれば多いのかもしれません。商品の方が値動きの変動周期が短いとも言い換えられるかもしれません。株の世界では、順張りでも利益は得られるかもしれませんが商品相場ではいかんせん上げ・下げのサイクルが短いので順張り支持者には結構不利な市場です。商品相場で有利になるための配置の仕方は、ものすごく簡単な原理です。玉の調節という技術は株にも応用できるとは思いますが、推奨銘柄なんかと違って即効性はありません。ですが、十分に学ぶ価値はあるとは思っています。



栄冠は世論に迎合しないものに微笑む!?

 商品先物の世界で遊んでいる僕としては、前出の1、か3、どちらのポジションを選ぶかと言われれば「1、!」と即答します。僕にとっては3、の配置は危険ですからね。しかしながら多くの人は3、を選ぶんじゃないでしょうか。市民権を得るのは3、の方だと思います。なぜなら1、のポジションは典型的な『逆張り』で、3、は純粋な『順張り』だからです。


 1、のポジションと3、のポジションどちらが有利かと言えば、これだけは声を大にして1、と僕は答えます。でも、その配置は怖くて出来ない人が多い。偉大なる投資家ウォーレン・バフェットは両建てなどしないでしょうが、彼の手法は明らかな『逆張り』です。だから多くの人が彼の手法を勉強してもなかなか真似が出来ないのではないでしょうか。


 『逆張り』は市場とは逆に動く手法です。そう言えば世間の流れに迎合しない変人の好む手法だと、なにかの本で読んだなあ。ただ、理論上でも変人の建てるポジションの方がノーマルな人が建てるポジションよりも有利になるんですけどね。新たに玉を建てたり、既存の玉を組み替えるタイミング。そのタイミングを『逆張り』で捉えた方が『順張り』で捉えるよりも断然有利だ!ということです。でも、勘違いしないでくださいね。すべて市場と逆に動けば勝てるんだと判断するのはあまりに早計です。『逆張り』は星の数ほどある投資手スタイルの中の一つでしかありません。


 真に学ぶべきは、この『逆張り』というスタイルにツナギナンピンなどの技術をどう組み込むか、と言うことです。これらが有機的に関係し、自在に使えるようになった日には、「市場の動きに関係なく利益を取れる」ような投資家になれるかもしれません。



予測よ、外れろ!?

 まあ、以降で紹介予定の投資手法は、とりあえず相場の動きが気になって眠れない、というような相場中毒の方の生活スタイルを変えうるものだとは思います。えっ、そんなこと出来るのかですって?うん、そうなんです。だって、普通の人は自身のポジションが損になるのを恐れていますが、僕の場合自分のポジションが損になるような状況を望むんです。より利益を得られる可能性に満ちた、言ってみれば玉を組み替える仕込みの段階であるからです。


 予測が当たれば、もちろん利益になるでしょう。もし、予測が外れても利益を得られるとしたらどうでしょうか。しかも、予測が大きく外れた方が、結果的に利益も大きくなるとしたらどうでしょう。予測の当たり外れに関係なく勝てるとしたら、別に不眠になることもありませんよね。真っ先に身につけるべきは、そんなスキルじゃないでしょうかね?


 予測の当たり外れの精度を向上させることに苦心するより、予測の当たり外れに依存しない売買を心がけた方がいくらか精神衛生上には良いかもしれません。当てよう!とは思わなくなるから。そう、予測が外れても勝てれば良いんですからね。うん、なんて分かりやすい結論だろうか。


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